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誰にでもある仕事のストレス|症状が出る前に病院で検査しよう

心の病気と職業との関係

カウンセリング

職場復帰を目指して

何らかの職業に就いて働くことは、学業を終えた人に対して課せられる義務の1つです。誰でも大人になれば、生活のために仕事をするのは当然の務めだとされています。職種や職場によっても違いはありますが、どの仕事でも多かれ少なかれ心身にストレスを受けることは避けられません。そうしたストレスはさまざまな病気の原因となることが知られています。心疾患や脳卒中・がんなど身体疾患はもちろん、うつ病に代表される心の病気も多くは仕事上のストレスが引き金となっているものです。その意味で大人たちは、常にそうした病気と隣合わせで働き続けなければならないのだとも言えます。仕事のストレスが原因で発症する精神疾患でも、前述のうつ病は最も患者数が多い病気です。うつ病の治療を受けている人の数は全国で100万人を上回り、一生の間でうつ病にかかる人の割合は10人に1人とまで言われています。適応障害と呼ばれる病気も少なくありません。心の病気で精神科を受診する患者さんのうち、20%前後はこの病気と診断されています。適応障害の多くは学校や職場にうまくなじめないことから重いストレスに苦しみ、心の病気を発症したと考えられます。このような病気を引き起こす契機の1つとして、環境の激変も無視できない要素です。異動・転勤や就職をきっかけに、それまでと大きく異なる環境にさらされるようになった人には強い環境ストレスが挙げられます。環境変化の影響に強い人もいれば、弱い人もいます。繊細な人ほど心の病気を発症しやすく、体調も崩しやすくなるのです。心と体の変調を訴えて心療内科や精神科を受診する人の多くは、こうした仕事上のストレスを抱えています。病院やクリニックでは病気の種類と症状に合わせて心理療法や薬物療法を実施し、生活指導にも取り組んできました。治療によって多くの患者さんが症状を改善させ、休職していた人も職場復帰を果たしています。

打たれ強くなる方法を学ぶ

ストレスがなぜそこまで心に大きな影響を及ぼすのかという知識があれば、心の病気も克服しやすくなります。精神科や心療内科では患者さんに対して、そうした面でも有意義な会話を展開しています。精神科医や臨床心理士はストレスの専門家とも言うべき存在です。精神医療では時に薬物療法も重要になるとは言え、心理療法を実施する点に他の診療科との違いがあります。病気の種類や症状によっても実施される心理療法は異なりますが、特に多く行われているのは認知行動療法と対人関係療法です。いずれも仕事のストレスが原因で心の病気に罹った患者さんにとっては、発症の引き金となった対象を見つめ直す機会となります。仕事や職場の人間関係に対する考え方を変えるだけでも、受けるストレスは大幅に軽減されるものなのです。環境から受ける心身の影響でも、特に精神面への影響は解釈次第で大きく違ってきます。これをコントロールできるようになれば再発リスクも低くなるのです。環境を整えてストレスを減らしたり、運動や趣味によって適度に発散するよう工夫したりするのも再発予防に効果的です。心理療法を通じてそうしたコントロール術を学びながら職場復帰を果たした患者さんは、以前と比べて打たれ強くなっているはずです。万人向けのストレス対処法は、本を読んだりインターネットで調べたりすることでも学べるかもしれません。しかしながら多くの人にとっては、心の病気を経験した人ほどそうした対処法の重要性が実感できないものです。本やインターネットでは知ることのできない情報というものがあります。ストレス対処法は1人1人異なり、その人には自分だけの方法が存在するのです。精神科や心療内科で受けられる心理療法とは、そうしたオーダーメイドのストレス対処法を学ぶ場でもあります。治療をきっかけに人生の極意を掴み、以後の飛躍につなげた人の例も数多く挙げられます。