先生

誰にでもある仕事のストレス|症状が出る前に病院で検査しよう

適応力を高める治療

下を向く女性

業務や職場になじめず発症

労災と言えば以前は事故による怪我や身体疾患が対象でしたが、近年では心の病で労災認定される事例が増えています。社会人になると誰でも何らかの職業に就き、多かれ少なかれストレスと戦いながら働くことになります。そうした仕事上のストレスも、その人の許容できるレベルを上回るようになると心身に影響が出てきます。身体への影響もさることながら、精神面への負担がかかり続けることによって心の病気を発症してしまうのです。ストレス障害の1つ適応障害もまた、仕事の内容や職場環境にうまくなじめないことで発症する例が多い病気です。およそ100人に1人が発症しており、特にストレス耐性の低い人ほど発症リスクが高いと言われています。環境への適応力に個人差があるのは仕方がないことです。社会の仕組みはすべての人が同じ適応力を持つことを前提に成り立っているような部分もあります。大半の職場が適応力の高い人を基準に業務を進めているため、うまく適応できない人にとっては大きな苦痛を強いられることになるのです。仕事や職場環境に適応できない人には強いストレスがかかり続けます。その結果さまざまな精神症状や身体症状が現れてきます。精神症状にはイライラや強度の不安、気分の落ち込みに加えて意欲の低下や情緒不安定などが見られます。全身倦怠感や頭痛・下痢など身体症状も珍しくありません。不眠から起床困難に陥り、仕事が続けられなくなる人も少なくないのです。こうした仕事上のストレスを原因とする心の病気は、精神科や心療内科で治療できます。心の病気も体の病気と同じように、適切な治療を行えば治すことができると考えられるのです。心療内科では適応障害に伴う身体症状の治療にも対応しており、薬も処方しています。とは言えこの病気を治す上で最も重要なのは心理療法です。患者さんの思いをカウンセラーが肯定的に受け止めることによって、心の問題を解決していく方法です。

うつ病との違い

仕事上のストレスが原因で心の病気にかかった人のうち、うつ病を疑って精神科や心療内科を受診する人も少なくありません。実際にうつ病と適応障害はよく似た症状を呈する場合があります。どちらも精神症状として気分の落ち込みや意欲・集中力の低下が見られ、仕事の継続に困難を覚えるようになるものです。さまざまな身体症状はうつ病でも珍しくありません。いずれもストレスが発症のきっかけとなっている点では共通しますが、異なる部分もあります。適応障害がうつ病と大きく違うところは、原因となったストレス源から解放されると症状が消失する点にあります。仕事や職場環境が原因となっている場合は、休職によって急速に元気を回復するような例もあるのです。威圧的な態度を取る特定の上司が転勤したことで症状が出なくなった例もあります。うつ病はストレス源に関わらず症状が長期間続く点で見分けがつくものです。両者では治療方法も違ってきますから、精神科医は問診を通じての正確な診断を心がけています。こうした点を踏まえ、適応障害の治療はまずストレスの原因を除去することが最優先とされます。職場環境や業務内容をうまく調節できればいいのですが、現実にはなかなか理想通りにいかないものです。そこで次の段階としての心理療法が重要になってきます。この病気を治す上で最も大切なのは、原因となった仕事のストレスに対して患者さん自身の適応力を高めていく点にあります。そのためにはカウンセラーと患者さんが協力し合いながら、仕事内容や職場環境とストレスとの関係を分析整理することが必要です。認知行動療法や問題解決療法といった心理療法を通じて、患者さんはストレスへの対処法を身につけていきます。精神科や心療内科では長期間の治療計画も視野に入れながら、患者さんをサポートしています。治療を通じて仕事への適応力を身につけ、職場に欠かせない存在となった人も多くいるものです。